日本国内でのこどもの接種では、ファイザー/ビオンテック社のmRNAワクチンが使われます。おとなと同じ「3週間間隔・2回接種」で、投与量はおとなが1回0.3mLに対し、こどもは1回0.2mLと少なめ。主成分であるmRNAは、おとなの30μgに対して3分の1の量の10μgが含まれています。
米国やヨーロッパでは、小児(5歳~11歳)に対するワクチン接種の大規模な臨床試験が行われています。
▼有効性について
第1相の臨床試験により、ワクチンを接種した5歳~11歳のこどもでは、おとなの量の3分の1で、デルタ変異体にも効果がある抗体がしっかりと作られることが分かっています。
5~11歳のこども2,268名が参加した第2相・第3相の臨床試験では、ワクチンを接種しなかったグループでの感染者は16例ありましたが、接種したグループでは3例にとどまり、ワクチンによる発症予防効果は約90%という高い効果が認められました。
なお、オミクロン変異体では、ワクチンが感染を防ぐ効果は落ちていますが、重症化・入院・死亡を防ぐ効果は比較的維持されていることがわかっています。
▼安全性について
ファイザー/ビオンテック社の mRNAワクチンは、安全性の高いワクチンです。
ワクチン接種後、おとなと同じような副反応がみられますが、腕の痛みや頭痛、だるさを中心に、多くの副反応は16歳以上と比較すると頻度が低いことが報告されています。
●注射した腕の反応:痛みなど…70%程度
●全身の反応:頭痛・だるさ…20〜40%程度
●発熱…約7%(おとなの半分以下)
●その他、関節痛や筋肉痛、寒気など
▼心筋炎について
心配される「心筋炎」の発症については、米国で行われた数千人規模の5歳~11歳のこどもの臨床試験では報告されませんでした。
米国では承認後も調査が行われ、ごく低頻度かつ軽症の心筋炎が報告されています。これは、100万回接種あたり1-3例と、12歳以上の接種で報告されていた心筋炎よりも頻度が低く、いずれも軽症で回復するものがほとんどでした。万が一、接種後1週間以内に胸が痛い・息が苦しいなどの症状が出たときは、医療機関を受診してください。