こどものワクチン接種
〜いっしょに話そう!
5歳から11歳のコロナワクチン〜

 

2022.7.30 更新!

 

5〜11 歳のこどもを対象とした新型コロナウイルスのワクチン接種について、保護者向けの情報を提供しています。ワクチンの内容や接種の意義など、保護者の皆さんが理解した上で、お子さんとも話し合い、ワクチン接種をご検討ください。

   

監修者:池田早希日本小児科学会専門医、米国小児科専門医、
米国小児感染症専門医、疫学修士
アメリカ熱帯医学学会認定医

こどものワクチン接種の意義

2021年夏の第5波以降、こどもの新型コロナウイルス感染症が増え、2022年7月現在、ワクチン接種が進んでいない幼児〜小児を含め、これまでにない感染拡大の状況を示しています。
        こどもの感染で懸念されるのは、軽症であっても嗅覚異常や長期に残る疲労感が起こりえること、さらに、まれに重症化したり合併症を起こしたりすることです。小児COVID-19関連多系統炎症症候群(MIS-C)という、全身の臓器に炎症が起こる合併症も報告されています。

ワクチン接種により、以下のメリットがあります。

●重症化の予防
●入院・死亡の予防
●多系統炎症性症候群(MIS-C)の予防
●後遺症の予防

とくに、肥満、慢性呼吸器疾患、神経疾患、先天性心疾患、免疫不全、ダウン症ほか染色体異常などの基礎疾患があるこどもでは、重症化リスクが高いため、接種が推奨されます。

おとなとこどもの接種内容の違い
       

日本国内でのこどもの接種では、ファイザー/ビオンテック社のmRNAワクチンが使われます。おとなと同じ「3週間間隔・2回接種」で、投与量はおとなが1回0.3mLに対し、こどもは1回0.2mLと少なめ。主成分であるmRNAは、おとなの30μgに対して3分の1の量の10μgが含まれています。

米国やヨーロッパでは、小児(5歳~11歳)に対するワクチン接種の大規模な臨床試験が行われています。

▼有効性について
第1相の臨床試験により、ワクチンを接種した5歳~11歳のこどもでは、おとなの量の3分の1で、デルタ変異体にも効果がある抗体がしっかりと作られることが分かっています。
5~11歳のこども2,268名が参加した第2相・第3相の臨床試験では、ワクチンを接種しなかったグループでの感染者は16例ありましたが、接種したグループでは3例にとどまり、ワクチンによる発症予防効果は約90%という高い効果が認められました。
なお、オミクロン変異体では、ワクチンが感染を防ぐ効果は落ちていますが、重症化・入院・死亡を防ぐ効果は比較的維持されていることがわかっています。

▼安全性について
ファイザー/ビオンテック社の mRNAワクチンは、安全性の高いワクチンです。
ワクチン接種後、おとなと同じような副反応がみられますが、腕の痛みや頭痛、だるさを中心に、多くの副反応は16歳以上と比較すると頻度が低いことが報告されています。
●注射した腕の反応:痛みなど…70%程度
●全身の反応:頭痛・だるさ…20〜40%程度
●発熱…約7%(おとなの半分以下)
●その他、関節痛や筋肉痛、寒気など

▼心筋炎について
心配される「心筋炎」の発症については、米国で行われた数千人規模の5歳~11歳のこどもの臨床試験では報告されませんでした。
米国では承認後も調査が行われ、ごく低頻度かつ軽症の心筋炎が報告されています。これは、100万回接種あたり1-3例と、12歳以上の接種で報告されていた心筋炎よりも頻度が低く、いずれも軽症で回復するものがほとんどでした。万が一、接種後1週間以内に胸が痛い・息が苦しいなどの症状が出たときは、医療機関を受診してください。

ワクチン接種当日・接種後のこと

〈持参するもの〉
母子健康手帳、接種券(送付された一式)、本人確認書類(マイナンバーカード、健康保険証など)

       

接種前
●こどもに持病があり、気になることがあれば、事前に主治医に相談を。
          接種当日
●おとなと同じ、肩への筋肉注射です。肩まで腕を出しやすい服装に。
 (腕の筋肉量がとても少ない子は、太ももに打つこともあります)
過去に予防接種で気分が悪くなった経験(迷走神経反射)がある方や、立ちくらみを起こしやすい方は、問診時に医師に伝えましょう。横になって打つこともできます。
気になることがあれば、問診の際に尋ねましょう。
 接種後
        ●接種部位は揉んだりせず、清潔に保ちましょう。
●接種後は指示に従って15分または30分、待機します。
●接種後の入浴や食事は、普段通りでかまいません。運動も、激し過ぎなければおこなってかまいません。
当日~翌日にみられる発熱や痛みには、市販の小児用鎮痛解熱剤を使えます。
「胸が痛い」「胸のドキドキが続く」「息が苦しい」など胸部の変わった訴えがあった場合、すぐに医療機関を受診してください。

こどものワクチン接種に関する考えかた

こどものワクチン接種については、接種のメリット/デメリットを理解した上で、検討することが大切です。感染者が少ないときにはそこまで心配がなくても、世界中で感染が収まらない限り、安心はできません。
新型コロナウイルスによる感染流行の波は繰り返し起こり、こどもをはじめコロナウイルスに対する免疫がない人に、どんどん感染が広がっています。また、日常生活や学校生活で、こども心には理解しづらい我慢を強いています。 より安心して生活するために、ワクチン接種は意義があることだと考えられます。

お子さんとワクチン接種についてお話しするときには、ぜひ、こびナビが作成したリーフレット(下記ダウンロードリンク)や、こちらの「こどものワクチン接種」の特設ページをご活用ください。

〈引用元URL〉

  1. 厚生労働省「5歳から11歳のお子様と保護者の方へ 新型コロナワクチン接種についてのお知らせ」
  2. 日本小児科学会 5~11歳小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方
  3. CDC Frequently Asked Questions about COVID-19 Vaccination in Children
  4. N Engl J Med 2022; 386:35-46 DOI: 10.1056/NEJMoa2116298
  5. COVID-19 vaccine safety updates: Primary series in children and adolescents ages 5–11 and 12–15 years, and booster doses in adolescents ages 16–24 years. Advisory Committee on Immunization Practices. January 5, 2022
  6. CDC; COVID-19 Vaccines for Children and Teens
  7. CDC: Omicron Variant: What You Need to Know
  8. Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP) Updates on safety of COVID-19 vaccines in children ages 5-11 years

リーフレット ダウンロード

こどもの「ワクチンてなぁに?」へのやさしい説明と、ワクチン接種の流れをすごろく風にまとめました。PDF をダウンロードし、A4 サイズに印刷してお使いください。

こどものワクチン接種による発症予防効果

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こどものワクチン接種 Q&A

こびナビに寄せられた「こどものワクチン接種」に関する疑問、ご不安の声に答えました。
一般的なワクチン接種に関するQ&A はこちら

Q1.新型コロナワクチン接種後、こどもにも発熱などの副反応が出ますか?

ワクチンを打ったあとは、おとな同様に腕の痛みなどの副反応が起こることがありますが、16歳以上に比べて頻度が低いことがわかっています。
5歳〜11歳における臨床試験で最も頻度が高かった副反応は接種部位の痛みで、その次に疲労感と頭痛が報告されています。

●接種部位の痛み:1回目71%・2回目74%
●疲労感:1回目34%・2回目39%
●頭痛:1回目22%・2回目28%

38℃以上の発熱の頻度は低く、1回目2.5%、2回目6.5%でした。
その他には筋肉痛、寒気、関節痛等の症状が報告されています。

           

このような反応は免疫が作られるときに起こるもので、接種した日の夜や翌日に生じることが多く、数日以内に回復します。
腕の痛みや頭痛、熱がつらい場合は、市販の小児用解熱鎮痛剤を使用できます。

数日以内に起こることがある症状

症状  症状が出たこどもの割合 
接種部位の痛み 50%以上
 頭痛、接種部位の赤み・腫れ、疲労感、筋肉痛、寒気  10-50%
発熱 1-10%

12歳以上の若年男性では「心筋炎」という稀に起こる副反応が知られていますが、5歳〜11歳でワクチン接種後にみられた心筋炎の頻度は、さらに稀であること(接種100万回あたり1-3回程度)がわかっています。万が一、接種後1週間以内に「胸が痛い」などの症状が出たときは、医療機関を受診してください。

  1. N Engl J Med 2022; 386:35-46 DOI: 10.1056/NEJMoa2116298
  2. 5歳から11歳のお子様と保護者の方へ「新型コロナワクチン接種についてのお知らせ」(厚生労働省)
    ※PDFダウンロードリンク
  3. Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP) Updates on safety of COVID-19 vaccines in children ages 5-11 years
Q2.新型コロナウイルス感染症から回復したこどもは、ワクチンを打たなくても大丈夫ですか?

新型コロナウイルスにかかったことのあるこどもにも、ワクチン接種が推奨されます。ワクチン接種による抗体値に比べ、感染後の抗体価はかなり低く、免疫効果は不十分です。体調が回復し、隔離期間が明けたら接種可能ですが、自治体の方針を確認してください。

  1. 10 Things to Know About the COVID-19 Vaccine for Children
  2. 新型コロナワクチンQ&A(厚生労働省)
Q3.こどもは持病がありますが、ワクチン接種は控えた方がよいでしょうか?

肥満、慢性呼吸器疾患、神経疾患、先天性心疾患、免疫不全、ダウン症ほか染色体異常などの基礎疾患があるこどもは、重症化リスクが高いため、接種が推奨されます。気になることがあれば、主治医に相談しましょう。

  1. 5歳から11歳のお子様と保護者の方へ「新型コロナワクチン接種についてのお知らせ」(厚生労働省)
    ※PDFダウンロードリンク
  2. 5~11歳小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」(日本小児科学会)
  3. 「新型コロナウイルスワクチン接種に関する、小児の基礎疾患の考え方および接種にあたり考慮すべき小児の基礎疾患等」(日本小児科学会)
Q4.こどもはアレルギー体質なのでワクチン接種が不安なのですが、接種しても大丈夫でしょうか?

食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、気管支喘息などがあっても、他のこどもたちと同じように接種できます。
念のため、アナフィラキシー(重篤なアレルギー反応)の既往があるこどもがワクチンを接種した場合は、様子をよく観察するために、接種会場での待機を通常より長めの30分としています。時間に余裕をもって接種会場へ向かってください。
            他のワクチン接種や注射薬による即時型アレルギー(接種後すぐに出るアレルギー反応)の既往があるこどもは注意が必要ですので、医師に相談しましょう。

  1. Interim Clinical Considerations for Use of COVID-19 Vaccines Currently Approved or Authorized in the United States(CDC)
  2. 新型コロナワクチンQ&A(厚生労働省)
Q5.過去に他のワクチンでこどもに副反応が出たのですが、ワクチン接種を控えた方がよいでしょうか?

ワクチン後の腕の痛みや発熱などの症状は、体が免疫をつけるときに生じる反応です。そのような反応が過去に出た場合でも、コロナワクチンの接種は可能です。
            他のワクチン接種や注射薬による即時型アレルギー(接種後すぐに出るアレルギー反応)の既往があるこどもは注意が必要ですので、かかりつけの小児科医や問診医に相談しましょう。

Q6.こどもは感染しても「症状が軽い」と聞いています。
それでもワクチンを打つ必要がありますか?

オミクロン変異体の大流行で、こどもの感染が増えています。感染するこどもが増えると、それまで健康であったとしても、なかには重症化するこどもや長引く後遺症に悩まされるこどもが出てきます。
ワクチンによる重症化予防効果は対オミクロンでも高く、また、多系統炎症性症候群(MIS-C)の予防にも役立ちます。
ワクチン接種は、こども自身を守る強力な盾となります。とくに、肥満、喘息などの呼吸器疾患、神経疾患、先天性心疾患、ダウン症ほか染色体異常などの基礎疾患があるこどもは、重症化のリスクが高いため、接種が推奨されます。

〈ワクチン接種で期待できること〉
●重症化の予防
●入院・死亡の予防
●多系統炎症性症候群(MIS-C)の予防
●後遺症の予防

  1. 5歳から11歳のお子様と保護者の方へ「新型コロナワクチン接種についてのお知らせ」(厚生労働省)
    ※PDFダウンロードリンク
  2. 5~11歳小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」(日本小児科学会)
  3. Frequently Asked Questions about COVID-19 Vaccination in Children (CDC)
  4. N Engl J Med 2022; 386:1899-1909 DOI: 10.1056/NEJMoa2202826
Q7.親は接種をすすめるのですが、こどもがひどく嫌がるので困っています。
どう伝えるのがよいのでしょうか。

まずは、お子さんがどうして接種を嫌がっているのか、よくお話を聞きましょう。
また、お子さんにも「ワクチンを接種する意義」をしっかり伝えてあげることが大切です。かかりつけの小児科医に相談するのもいいですね。

Q8.おとなとこどもでは、接種の際の注意に違いはありますか?

低年齢のこどもでは、副反応が出ても症状をうまく伝えられないことがあります。体調の変化について注意深く観察し、お話を聞くようにしましょう。

Q9.接種後、すぐにスポーツに参加できますか?外で遊ばせてよいですか?

過度な運動でなければ大丈夫です。
体調に合わせて過ごし、接種した腕の痛みや倦怠感などの副反応が出た場合は、無理をしないようにしましょう。

  1. 新型コロナワクチンQ&A(厚生労働省)
  2. 5歳から11歳のお子様と保護者の方へ「新型コロナワクチン接種についてのお知らせ」(厚生労働省)
    ※PDFダウンロードリンク
Q10.接種の翌日、学校や幼稚園・保育園へ行けますか?

副反応などの問題がなければ、通常どおり通学・登園できます。
頻度は低いのですが(約7%)発熱がある場合はお休みしましょう。ワクチンの副反応の症状は数日で回復します。

Q11.ワクチンを打ったら、感染対策をゆるめることはできますか?

ワクチン接種により重症化から守られますが、万能ではありません。新型コロナウイルスの流行中はマスク、手洗い、密を避けるなどの感染対策を続ける必要があります。流行が十分に抑えられる日まで感染対策を続け、新型コロナウイルスから身を守りましょう。

  1. 5歳から11歳のお子様と保護者の方へ「新型コロナワクチン接種についてのお知らせ」(厚生労働省)
    ※PDFダウンロードリンク
Q12.新型コロナワクチンは、成長期のこどもにとって安全でしょうか。
将来、何か副反応のようなものが出るのではないかと心配です。

新型コロナワクチンは、臨床試験で安全性を確認してから特例承認されています。
長期的な副反応は、生ワクチンを除いて、ほとんどの場合「接種をしてから6週間以内」に起こることが知られています。
mRNAワクチンは
●原理的に遺伝子に組み込まれない
●成分は比較的短時間で分解される
●ワクチンによってできるたんぱく質も長期に残らない
これらの特性から、長期的な副反応の可能性は考えにくく、もし起こったとしても非常に稀だと考えられます。

mRNAワクチンの治験が始まって、すでに1年半以上が経過していますが、ワクチン接種から半年以上経過して新たに生じるような副反応は報告されていません。
長期的な副反応については、世界中で厳重な監視がされており、今後も評価が続けられます。

  1. Epidemiology and Prevention of Vaccine-Preventable Diseases. Appendix D: Vaccine Safety(CDC)
  2. Emergency Use Authorization Overview and Considerations for COVID-19 Vaccines(FDA)
    ※PDFダウンロードリンク
       
Q13.6カ月から4歳以下のコロナワクチンについて教えてください。
           

アメリカでは6カ月から4歳のお子さんでコロナワクチンが接種できるようになりました。日本でも2022年7月14日に特例承認の申請がされました。

  1. CDC: COVID-19 Vaccines for Children and Teens

こどものワクチン接種 体験記

すでにこどものワクチン接種を終えた方々からの「こどものワクチン接種」の体験記をまとめました。一般的なワクチン接種の体験記はこちら

こどものワクチン接種 体験動画

「こどものワクチン接種」の体験動画、またワクチンの働きを解説する動画などをまとめました。

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こどものワクチン接種 リンク集

国や自治体、医療系の団体などによる「こどものワクチン接種」や免疫システムに関する情報発信をご紹介します。

  • 厚生労働省新型コロナワクチンQ&Aサイト
  • 厚生労働省新型コロナワクチンQ&Aサイト
  • KNOW-VPD!VPDを知って、子どもを守ろう
  • 新妻免疫塾

こどものワクチン接種 こびナビ マンガ

「コロナマンガ大賞」受賞者によるこどものワクチン接種のマンガを近日公開予定です。
その他の作品も「コロナマンガ大賞」でご覧いただけます!

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