3-2 重症化を防ぐ効果について教えてください。
2022/02/03
日本で主に使用されているファイザー・ビオンテック社ワクチン及びモデルナ社ワクチンについては、全ての2022年1月現在世界で流行しているデルタやオミクロン等の変異ウイルスに対して重症化を防ぐ効果が確認されています。
ファイザー・ビオンテック社ワクチンの第2/3相臨床試験では、ワクチン接種から約2か月後までを調べた結果、重症となった人は、ワクチンを受けたグループでは1人であったのに対し、プラセボ(偽薬)のグループでは9人でした 1)。なお、ワクチンのグループで重症となった人も入院までは必要ない状態でした2)。その後、同じ臨床試験の被験者をワクチン接種から約6か月後まで観察した結果、1回目の接種後、重症となった人はワクチンを接種したグループでは1人、プラセボのグループでは30人でした(有効性96.7%)3)。イスラエルで約60万人のワクチン接種者を解析した研究から、2回目の接種から7日以降では、COVID-19の重症感染を92%防ぐ効果が確認されました4)。
モデルナ社の mRNAワクチンに関しても、大規模な臨床試験において、プラセボのグループで重症化した人が30人いましたが、ワクチンを受けたグループで重症となった人は1人もおらず、ワクチンによって重症化することも防げたことが示されています5)。
デルタ変異ウイルスについても、mRNAワクチンは重症感染を予防する高い効果が維持されていることがわかっています。具体的には、イギリスでファイザー・ビオンテック社ワクチンの有効性を調べた研究では、重症感染を予防する効果が96.0%と推定されました6)。
オミクロンに対する重症感染予防効果は2022年1月現在研究が続けられている段階ですが、発症予防効果に比べ入院抑制効果は高く保たれていると報告されています(「Q3-6. オミクロン変異ウイルスについて詳しく教えて下さい。mRNAワクチンはオミクロンにも効果がありますか?」の項目参照)。
- N Engl J Med. 2020;383:2603-2615
- FDA. Vaccines and Related Biological Products Advisory Committee Meeting December 10, 2020
- N Engl J Med. 2021;385:1761-1773.
- N Engl J Med. 2021;384:1412-1423.
- N Engl J Med. 2021;384:403-416
- Public Health England. Effectiveness of COVID-19 vaccines against hospital admission with the Delta (B.1.617.2) variant.