こびナビ

「こびナビ」は新型コロナウイルス感染症や新型コロナウイルスワクチンに関する正確な情報を皆さんにお届けするプロジェクトです。 こびナビとは

ワクチンQ&A:医療従事者の方へ

二次利用について:当サイトに存在する、文章・画像・動画等の情報について、正確な情報を伝達する目的で、改変せず使用する場合に限り、二次利用いただけます。

 
 
     

ワクチンの仕組み・成分

Qワクチンにはどのような種類がありますか?

A

ワクチンとは、あらかじめ身体に反応を起こさせておき、実際にウイルスや細菌などの病原体がからだに侵入しようとしたときにすぐに反応できるようにさせる医薬品のことを言います

仕組みとしては、病原体そのものや、病原体を構成する物質などをもとに作ったワクチンを接種することで、その病原体に対する免疫をつくらせるというものです。

ワクチンの種類は具体的には、以下のようなものがあります。

 

  • 生ワクチン

 病原性を弱めた(症状などが出なくなるようにした)病原体からできています。接種すると、その病気に自然にかかった場合とほぼ同じように、しっかりと免疫がつくことが期待できます。

  • 不活化ワクチン、組換えタンパクワクチン(サブユニットワクチン等)

 感染力をなくした(不活化という)病原体や、病原体を構成するタンパク質からできています。

  •  mRNAワクチン、DNAワクチン、ベクターワクチン

 これらのワクチンでは、ウイルスを構成する一部のタンパク質の遺伝情報(設計図)の書き込まれた核酸(RNAやDNA)や、核酸をのせたベクター(運び屋)を投与します。その遺伝情報をもとに、体内でウイルス由来のタンパク質がつくられ、さらに、そのタンパク質に対する抗体が作られたり、ウイルスのタンパク質を認識する免疫細胞が誘導されることで免疫を獲得します。

 

*ベクター:ワクチンに必要な遺伝情報などののった核酸をヒトの細胞に運ぶために、運搬役として使われる、ヒトに対して病原性のないウィルスなどのこと。(例:病原性のないアデノウイルス)

 

新型コロナウイルスワクチンには以下のようなものがあります

mRNAワクチン: ファイザー・ビオンテック社ワクチン、モデルナ社ワクチン

ベクターワクチン: オックスフォード大学・アストラゼネカ社ワクチン、ジョンソン・エンド・ジョンソン(ヤンセンファーマ社)ワクチン(米国で2021年2月27日に緊急使用許可されました)

組換えタンパクワクチン: ノババックス社ワクチン(第3相臨床試験の中間解析結果がプレスリリースで発表済み)

 

ワクチンの種類 ©こびナビ

QmRNAワクチンにはどのような成分が入っていますか?

A

新型コロナウイルスのmRNAワクチンの成分は、ファイザー・ビオンテック社製、モデルナ社製いずれも次の3つのカテゴリーの成分からなっています。

 

 1. mRNA本体

 2. 脂質(lipid)… ポリエチレングリコール(PEG)を含む運搬体

 3. 塩類とショ糖と緩衝剤

 

これらの成分はいずれもヒトへの投与経験があるものです。

いずれのワクチンにもアジュバントや(水銀を含む)保存剤は含まれていません。

また、無細胞系といって細胞を使わずに工場内で合成されているため、細胞の成分等が混入することも原理的にあり得ません。

(脂質ナノ粒子(Lipid NanoParticle; LNP)を用いることから、LNP-mRNAワクチンと英語で記載されることもあります。)

 

 1. FDA. EMERGENCY USE AUTHORIZATION (EUA) OF THE PFIZER-BIONTECH COVID-19 VACCINE TO PREVENT CORONAVIRUS DISEASE 2019 (COVID-19) IN INDIVIDUALS 16 YEARS OF AGE AND OLDER

 2. FDA. EMERGENCY USE AUTHORIZATION (EUA) OF THE MODERNA COVID-19 VACCINE TO PREVENT CORONAVIRUS DISEASE 2019 (COVID-19) IN INDIVIDUALS 18 YEARS OF AGE AND OFDA.

 3. N Engl J Med. DOI: 10.1056/NEJMra2035343

QmRNAワクチンによりヒトの遺伝子(染色体)に変化が生じてしまう可能性はありますか?

A

ワクチンのmRNAはヒトの核に入り込むことはほぼなく、核に入ったとしてもワクチンには含まれていない逆転写酵素がないとDNAに変換されることもありません1)。また、インテグラーゼという酵素も存在しないためDNAに組込まれることもできません。つまり、染色体に影響をあたえることでヒトの遺伝子に変化を起こすことはありません。

 

  1. IDSA. Vaccines FAQ

QmRNAワクチンには遺伝子組換え技術が使われているのでしょうか。

A

mRNAワクチンには遺伝子組換えの技術を用いて作用させるものではありません。RNAはヒトの細胞の核に入ることはほぼなく、リボソームで読み込まれた後、細胞内の酵素で速やかに分解されます。安全性は大規模な臨床試験で確認されています1,2)

 

  1. CDC. Ensuring the Safety of COVID_19 Vaccines in the United States
  2. 一般社団法人日本感染症学会ワクチン委員会.COVID-19 ワクチンに関する提言 (第 1 版)

QワクチンのmRNAは体内に残りますか?

A

mRNAはヒトの細胞内でリボソームに読み込まれた後は、速やかに細胞内酵素により分解されますので体内には残りません。

  1. IDSA. Vaccines FAQ

ワクチンの開発

Qどうしてワクチンがたった一年間でできたのか教えて下さい

A

ファイザー・ビオンテック社及びモデルナ社のワクチンの緊急使用許可(EUA)が、開発から1年以内で行われたという開発の早さに不安を覚える方もいると思います。

 

今回のワクチンの開発から承認がこれほど早く進んだ理由はいくつかあります1-3)

 

2002-2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)とその原因であるコロナウイルスのスパイクタンパク質(今回の新型コロナウイルスに類似)に関する研究の蓄積があったこと

・遺伝解析技術の向上や、mRNAワクチンに関する長年の研究の蓄積により、遺伝子配列が公開されればすぐにワクチンをデザインできる技術が開発されていたこと

・いくつかの段階の動物実験や臨床試験を同時並行で行ったこと

・ 感染流行により大規模な臨床試験の進みが早かったこと

米国政府や国際機関・基金などによる大量の資金の投入

・最終的な臨床試験を終える前から承認審査を始め、結果がわかればすぐに承認する準備ができていたこと

など、様々な要因が挙げられています。

 

一方で、開発されたmRNAワクチンはいずれも、米国の審査で評価された臨床試験(ファイザー・ビオンテック社は43,448人、モデルナ社は30,420人)は申し分ない規模のものです4,5)。また、FDAの承認審査はYouTubeで生配信されるなど、有効性や安全性については従来のワクチンよりも透明性の高い方法で検証されています。

 

  1. Nature. 2021;589:16-18
  2. N Engl J Med. 2020;382:1969-73
  3. Moderna. Moderna Announces Progress in Prophylactic Vaccines Modality with CMV Vaccine Phase 2 Study Data Now Expected in Third Quarter 2020 and Expands Investment in This Core Modality with Three New Development Candidates
  4. N Engl J Med. 2020;383:2603-15
  5. N Engl J Med. 2021;384:403-16

ワクチンの効果

QmRNAワクチンの有効性について教えてください。

A

ファイザー・ビオンテック社ワクチン(コミナティ筋注、BNT162b2)の第2/3相試験1)と、モデルナ社ワクチン(mRNA-1273)の第3相試験2)において、COVID-19の発症に対する有効性は、約95%と非常に高いことがわかっています(図参照)。 

 

これはワクチンを接種しなかった群(偽薬・プラセボ群)と比べ、接種した群の方が発症者の割合が95%少なかったということです(リスク比)。

N Engl J Med. 2020;383:2603-261より転載一部改変)

 

  1. N Engl J Med. 2020;383:2603-2615
  2. N Engl J Med. 2021;384:403-416

Q重症化を防ぐ効果について教えてください。

A

ファイザー・ビオンテック社ワクチンでは89%(ワクチン vs. プラセボ, 1人 vs. 9人, 有効性88.9% [95% CI, 20.1 – 99.7%])、モデルナ社ワクチンでは100%(ワクチン vs. プラセボ, 0人 vs. 30人, 有効性100% [95% CI推定不能])の重症化予防効果が示されています1,2)。ファイザー・ビオンテック社の第3相臨床試験におけるワクチン群での重症例は、酸素飽和度93%以下であったため、臨床試験における重症の定義は満たしていたものの、入院も必要としなかったことが報告されています3)

 

ファイザー・ビオンテック社ワクチンの重症の定義(以下の1つを満たす)

  1. 安静時の重い全身症状(呼吸数 ≥30回/分, 脈拍 ≥125/分, SpO2 ≤93%、もしくはPaO2/FiO2 <300 mm Hg)
  2. 呼吸不全
  3. ショックの証拠
  4. 重症の腎障害、肝障害、神経障害
  5. ICUへの入室
  6. 死亡

 

モデルナ社ワクチンの重症の定義(以下の1つを満たす)

  1. 呼吸数30回/分以上
  2. 脈拍125bpm以上
  3. 室内気でSpO2 93%以下
  4. 呼吸不全
  5. ARDS
  6. ショックの証拠(収縮期血圧<90mmHg、拡張期血圧<60mmHg、昇圧剤が必要)
  7. 臨床的に重要な腎障害、肝障害、神経障害
  8. ICUへの入室
  9. 死亡
  1. N Engl J Med. 2020;383:2603-2615
  2. N Engl J Med. 2021;384:403-416
  3. FDA. Vaccines and Related Biological Products Advisory Committee Meeting
    December 10, 2020

Qワクチンは無症状の感染や感染伝播を防いでくれますか?ワクチンの接種によって他者への感染のしやすさ(伝播性)は低くなりますか?

A

臨床試験では、mRNAワクチンが新型コロナウイルス感染症の発症と重症化を防いでくれるということが証明されています。更に、無症候性の感染や、感染伝播も防ぐというデータが出てきており、現在も研究が進められています1)。モデルナ社ワクチンの第3相試験では一回目と二回目の接種時にPCR検査を実施しており、二回目の接種時に無症状でPCRが陽性だった人の数がワクチン群の方が少なかった(ワクチン群14人 [0.1%] vs. プラセボ群38人 [0.3%])ことが分かっています2)。無症状の感染も防いでくれることが期待されます。さらにファイザー・ビオンテック社ワクチンに関しては、イスラエルで約60万人のワクチン接種者を調査した研究から、2回目の接種から7日以降では感染を92%防ぐ効果があることが示されています3)。無症状感染に限って言えば、2回目の接種から7日以降では90%の予防効果があると報告されています。ただしこの研究ではワクチン接種者と非接種者の検査頻度に違いがある可能性が指摘されており、有効性を若干過大評価している可能性があることに注意が必要です

 

  1. IDSA. Vaccines FAQ
  2. FDA. mRNA-1273 Sponsor Briefing Document Addendum Vaccines and Related Biological Products Advisory Committee Meeting Date: 17 December 2020
  3. N Engl J Med. 2021;February 24. doi: 10.1056/NEJMoa2101765

Qインフルエンザワクチンと比べて有効性、安全性はどうなのでしょうか?

A

インフルエンザワクチンの有効性は年によって異なりますが、概ね40-60%程度であり1)、新型コロナウイルスに対するmRNAワクチンはこれよりも高い有効性があると考えられます2,3)

ファイザー・ビオンテック社ワクチン、モデルナ社ワクチンは、他のワクチンと同様の臨床試験を経ており、安全性が適切に確認されています。第3相にあたる試験においては、通常は数千人規模で安全性や効果を確認するところ、3-4万人の規模で行われました。今後接種人数が増え、数万人規模の臨床試験では検出されなかった副反応や、長期の時間が経ってから分かる副反応が出てくる可能性はゼロではありませんが、非常に稀と考えられます。

 

  1. CDC. Seasonal Flu Vaccine Effectiveness Studies
  2. N Engl J Med. 2020;383:2603-15 
  3. N Engl J Med. 2021; 384:403-416

Qワクチンの効果は長期的に続きますか?

A

新しいワクチンであり、治験が開始されてからの時間経過の限界があるため、まだどのくらいの期間免疫が持続するのかは分かっていません。モデルナ社ワクチンの第1相試験のデータからは少なくとも4か月は十分な量の中和抗体が維持されることが分かっています1)

 

  1. N Engl J Med. 2020;383:1920-1931

Q変異したウイルスにワクチンは効きますか?

A

世界各国で変異ウイルスの報告が続いており、引き続き監視(サーベイランス)とワクチン効果の検証が必要です。変異ウイルスは性質が変化することが懸念されますが、中でもワクチンの効果についての変化の検証が重要です

複数の研究では mRNAワクチン投与後の血清による中和力価の低下などが報告されていますが、中和能が極端に損なわれるものは今のところなく、効果があると考えられています1-4)。もし今後、現在のワクチンが効かない変異が出現しても、mRNAワクチンであれば効果的なワクチンを迅速につくることが出来ると思われます。実際にモデルナ社は南アフリカで見つかった変異に対応したワクチンを既に制作しています。

  1. Science  29 Jan 2021:eabg6105 
  2. N Engl J Med. February 17, 2021 DOI: 10.1056/NEJMc2102179
  3. N Engl J Med. February 17, 2021 DOI: 10.1056/NEJMc2102017
  4. N Engl J Med. March 8, 2021 DOI: 10.1056/NEJMc2102017
  5. 国立感染症研究所 https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/10220-covid19-36.html
  6. CDC https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/cases-updates/variant-surveillance/variant-info.html
  7. GOV.UK https://www.gov.uk/government/publications/investigation-of-novel-sars-cov-2-variant-variant-of-concern-20201201

ワクチンの安全性

QmRNAワクチンの安全性や副反応について教えてください。

A

3-4万人規模の臨床試験とv-safeという副反応モニタリングシステムによるデータ集積の結果から、mRNAワクチンは安全性の高いワクチンであることが分かっています。

 

ファイザー・ビオンテック社ワクチンでは、接種部位の腫れや痛み8割、頭痛5割、悪寒4割、発熱は約15%の被験者で認められました1)モデルナ社ワクチンも同じような結果で、接種部位の痛みや腫れは9割、頭痛6割、悪寒4割、発熱17%程度でした2)

ファイザー・ビオンテック社ワクチンもモデルナ社ワクチンも、接種に付随して生じる腕の痛みや発熱等の(免疫)反応原性が高いワクチンであることは分かっています3-5)これらの反応は自分の免疫が応答している過程で生じますが、ほとんどは2-3日でよくなります。症状が出て辛いようであれば解熱鎮痛薬を使用することができます。

これらの反応は一般的に、1回目よりも2回目の接種で起こりやすく、高齢者よりも若年者で多く報告されています。翌日が休みの日にワクチン接種を予約するなどして、2回目の接種後に休めるよう組む事が推奨されます。もし反応が起こっても、ワクチンではスパイクタンパク質というウイルスの一部分しか作られないので、新型コロナウイルスに感染することはありません。

 

  1. N Engl J Med. 2020;383:2603-2615
  2. N Engl J Med. 2021;384:403-416
  3. CDC. Ensuring the Safety of COVID_19 Vaccines in the United States
  4. FDA. Vaccines and Related Biological Products Advisory Committee Meeting December 10, 2020 FDA Briefing Document Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine 
  5. FDA. Vaccines and Related Biological Products Advisory Committee Meeting December 17, 2020 FDA Briefing Document Moderna COVID-19 Vaccine

Q日本人における副反応の頻度について教えて下さい

A

2021年2月14日に特例承認されたファイザー社ワクチン「コミナティ」の添付文書によりますと、日本人160例(本剤接種群:119例、プラセボ接種群:41例)を対象に調査が行われ、2回目の接種後の注射部位の疼痛は79%、疲労60%、筋肉痛16%、発熱33%とのことで、ほとんどは内服薬で改善し日常生活に支障をきたさない程度(Grade 2)まででした。なお、発熱の頻度が米国の臨床試験より高いことは、対象となった方の数が違うことに加え、発熱の基準が日本では37.5℃以上と米国の38.0℃より高かったことが関連している可能性があります。体温の測定方法も異なると考えられます(口腔内 vs 腋窩)。

  1. コミナティ 添付文書

 

QmRNAワクチンによって、1-2年後以降など長期的に生じる副反応の可能性はありますか?

A

ワクチンの副反応のほとんどは、比較的短期的、投与してから6週間以内に起こることが分かっています1)このため、FDAは新型コロナウイルスに対するワクチンの承認条件として、投与されたあとのフォローアップの期間の中央値が2ヶ月間あることを条件としました2)ワクチンの副反応として重要なものの一つは、免疫による副反応です。長期的に起こってくる副反応の可能性はもちろんゼロとは言えませんが、作用のメカニズム、つまりmRNAがDNAに組み込まれないことや、mRNAが比較的短期間で分解されることを考えると、非常に稀と考えられます。臨床試験は現在も継続中で、長期的な副反応についても評価がされています。

 

  1. National Childhood Vaccine Injury Act: Vaccine Injury Table
  2. Emergency Use Authorization Overview and Considerations for COVID-19 Vaccines

QmRNAワクチンによるアナフィラキシーについて詳しく教えて下さい。

A

新型コロナウイルスのmRNAワクチンでも、非常に稀ですがアナフィラキシーの報告が出ています。2021年2月12日に発表されたのJAMAの論文によると、ファイザー・ビオンテック社ワクチンでは 100万投与で4.7例、モデルナ社ワクチンでは2.5例のアナフィラキシーが起こったとのことです1)。いずれの方にも適切な初期対応が行われ、回復しています。インフルエンザワクチンでのアナフィラキシーの頻度は100万人に1人程度とされており、それよりは頻度は多いですが、非常に稀であることは変わりません。

なお、日本ではmRNAワクチン接種後のアナフィラキシーの頻度が多いのではないかという報道がなされました。しかし、ワクチンの安全性評価に用いられるブライトン分類2)に基づいて精査し直すと半分以上は定義を満たさなかったこと、米国でも医療従事者は非医療従事者よりも頻度が多いとの報告もある3)ことから、日本で特別なことが起きているわけではないと考えられます。

アナフィラキシーに対しては治療薬であるアドレナリン(エピネフリン)が有効です。接種会場では接種後、アレルギー反応が起きないかの経過観察時間が設けられ、万が一アナフィラキシーが起こった場合、速やかにアドレナリンを投与し、処置・診療を受けられる体制が整備されます。

  1. JAMA. 2021.doi:10.1001/jama.2021.1967
  2. Vaccine. 2007;25:5675-5684.
  3. JAMA. 2021. doi:10.1001/jama.2021.3976

Q接種後の副反応や安全性はどうやってモニターされますか?

A

アメリカではV-safe, Vaccine Adverse Event Reporting System (VAERS), Vaccine Safety Datalink, Clinical Immunization Safety Assessment (CISA), Biologics Effectiveness and Safety System (BEST) やその他のネットワークなど、多くの情報をもとに安全性を確認・評価するシステムが複数存在します1)日本でも副反応情報を収集・モニターする仕組みができることとなっています。また、接種後に予期せぬ有害事象・副反応疑いの症状が出た場合、予防接種法により医師等が報告をする義務があります2)

 

  1. CDC Ensuring the Safety of COVID-19 Vaccines in the United States
  2.  厚生労働省 予防接種法に基づく医師等の報告のお願い

Q新型コロナウイルスワクチンでADE(抗体依存性増強現象、Antibody-dependent enhancement)が起こりますか?

A

ADEは、自然感染やワクチンによって体内に作られた中和能のない抗体が、ウイルスが人の細胞に入りこむのを助け、ウイルスの感染による症状を悪化させてしまう現象です。これはデング熱ワクチン等で報告されました1)また免疫複合体等が気道で強い炎症を引き起こすこともあります(ワクチン関連増強呼吸器疾患 Vaccine-associated enhanced respiratory disease;VAERD)。

 

ワクチン開発では、ADEやVAERDが起こらないように、高い中和能がある抗体を作らせ、そしてTh1細胞優位の免疫反応を誘導するワクチンの開発が大切とされます。ファイザー・ビオンテック社ワクチン、モデルナ社ワクチン、オックスフォード・アストラゼネカ社ワクチン全てにおいて、誘導される抗体は高い中和能を持つことが分かっています。また、Th1優位の免疫が誘導されることも分かっています。第2/3相の臨床試験ではADEを起こした被験者はいませんでした2-3)。重症患者も殆どがワクチン群ではなくプラセボ群で発生しています。VAERDはmRNAワクチン接種後の動物実験でも観察されていません4-5)。こういったことからは、新型コロナウイルスのワクチンにおいてADEが懸念されることは現状ではとても考えにくいと言えます。

 

  1. N Engl J Med. 2018;379:327-40
  2. N Engl J Med. 2020;383:2603-2615
  3. N Engl J Med. 2021;384:403-416
  4. N Engl J Med. 2020;383:1544-1555
  5. bioRxiv. A prefusion SARS-CoV-2 spike RNA vaccine is highly immunogenic and prevents lung infection in non-human primates

アレルギーや基礎疾患のある方、妊娠中・授乳中・妊娠を考えている方、お子さまに対するワクチン接種

Q花粉症や食物アレルギーの既往があります。mRNAワクチンを接種して大丈夫ですか?

A

米国CDCはワクチンや注射薬以外の物(食べ物、動物、ラテックス等)に対する重症なアレルギー反応の既往がある方も接種可能としています1)。経口薬へのアナフィラキシーの家族歴がある方への接種も可能です。

米国CDCは、ワクチンの成分に対するアレルギー(アナフィラキシーに限定しない)の既往がある方への接種は禁忌としています1)。よって、mRNAワクチンの第一回目の接種直後にアレルギー反応が出た方は二回目の接種を控えることになります。また、アナフィラキシーの原因として最も疑われているのはポリエチレングリコール(PEG)という物質です。PEGにはたくさんの種類があり、大腸検査の下剤や薬剤、日用品等に幅広く使われています。PEGアレルギーはかなり稀であり、事前にアレルギーがあることがわかっている人、というのはほとんどいないと思われます。(上記はCDCによる2021年3月4日時点における推奨事項です)

日本では、「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の接種液の成分によってアナフィラキシ ーを呈したことがあることが明らかな者」は接種不適当者となっています2)。ワクチン接種後少なくとも 15 分間は観察されることになります。今回のワクチン以外のものに対し過去にアナフィラキシーを含む重いアレルギー症状を引き起こしたことがある方は、接種後 30 分程度観察されることが推奨されています。

 

  1. CDC. COVID-19 Vaccines and Allergic Reactions
  2. 新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き

Q免疫不全やHIV陽性の方にmRNAワクチンを接種しても大丈夫でしょうか?

A

HIVに感染している方や、他の免疫不全の患者に対するワクチンの有効性や安全性は、まだ十分明らかになってはいません。しかし米国CDCは、現在承認されているワクチンは生ワクチンではないため、原理的にワクチン接種で感染することは考えられず、免疫不全の方でも安全に投与できるとしています。一方で、そのような方はワクチン接種を行っても十分な抗体が産生されず、健常人に比較して有効性が低いことが懸念されます。しかし、HIVに感染している方や他の免疫不全の患者は新型コロナウイルスに感染すると重症化する可能性が高く、接種を検討する妥当性が十分あると考えられます。

免疫抑制剤を新たに開始予定の方がコロナワクチンをいつ接種すべきかは、まだ分かっていません。他のワクチンでの推奨事項からは、コロナワクチン接種後2週間待ってから新たな免疫抑制剤を使用した方がいいのではないかと推測されています。米国CDCは2週間待つことができず、免疫抑制剤を使用中の場合もコロナワクチンを接種できるとしています。また、免疫不全の方へのコロナワクチン接種に関しては、安全性や有効性がまだ十分明らかになっていないことと、免疫がつきにくい可能性、そして接種後も感染対策を続ける必要があるということを十分説明されるべきだとしています。個々の患者におけるリスクとベネフィットを十分説明した上で、接種を検討して頂く必要があります2)。免疫抑制剤を使用中の臓器移植患者では、mRNAワクチン1回接種後の抗体の誘導が若干弱くなる傾向があると報告されていますが3)、まだデータは不十分であり、免疫抑制状態の方に対するワクチン接種の効果は今後の研究で明らかになると期待されます。

 

  1. CDC. Interim Clinical Considerations for Use of mRNA COVID-19 Vaccines Currently Authorized in the United States
  2. 日本リウマチ学会.新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンについて
  3. JAMA. doi:10.1001/jama.2021.4385

Q自己免疫性疾患の方にmRNAワクチンを接種しても大丈夫でしょうか?

A

米国CDCは、自己免疫疾患の方におけるワクチンの安全性・有効性のデータは無いものの、自己免疫疾患患者でもmRNAワクチンの接種は可能としています1)。米国リウマチ学会は、リウマチ性疾患や自己免疫・炎症性疾患の患者は、COVID-19発症時の重症化リスクが高いため、基本的にワクチン接種を推奨しています2)

  1. CDC. Interim Clinical Considerations for Use of mRNA COVID-19 Vaccines Currently Authorized in the United States
  2. ACR COVID-19 Vaccine Guidance Recommends Vaccination, Addresses Immunosuppressant Drugs & Patient Concerns

Q担がん患者にもmRNAワクチンを接種しても大丈夫でしょうか?

A

担がん患者におけるmRNAワクチンの有効性や安全性に関するデータは限定的です1,2)。生ワクチンではないため、基本的には他のワクチンと同様の扱いでよいと考えられます。抗がん剤の治療の影響で、ワクチンによる免疫応答(B細胞やT細胞の応答、B細胞による抗体産生能)が不完全となる可能性があります。そのため、接種後も感染対策を徹底し続ける必要があります。

一般的に、担がん患者がワクチンを受けられなかったり、その有効性がはっきりしない場合、周りの家族がワクチンを接種して感染を防ぐことにより、重症化リスクの高い担がん患者・高齢者・免疫抑制患者への感染を防ぐ効果があるとされています。mRNAワクチンに同様の効果があるかはまだ分かっていませんが、その効果が強く期待されます。

 

  1. CDC. Interim Clinical Considerations for Use of mRNA COVID-19 Vaccines Currently Authorized in the United States
  2. IDSA. Vaccines FAQ

Qこれから妊娠を考えている女性にmRNAワクチンを接種しても大丈夫でしょうか?

A

米国CDCは、mRNAワクチン接種の前に妊娠検査を行うことや、ワクチンのために妊娠を遅らせる必要はないとしています1)。米国家庭医療学会は、mRNAワクチンは不妊とは関連がないとしています。以前ファイザーに勤めていた研究者が、ワクチン接種で女性が不妊になる可能性があるのではないかと主張しインターネットで拡散されました。ワクチンによって体の中で作られるスパイクタンパク質(新型コロナウイルスの表面の突起物)に対する抗体が、胎盤にあるシンシチン-1というタンパク質にも反応してしまう可能性があるという主張でしたが、実際にはこれらのタンパク質はほとんど全く似ていないため、ワクチンによってできる抗体が胎盤を攻撃することはないと考えられています。実際にファイザー・ビオンテック社やモデルナ社のワクチンを接種した女性がその後、妊娠していることも報告されています。以上より、mRNAワクチンによって不妊が起こるという情報は科学的根拠が全くない誤った情報です。

 

  1. CDC. Vaccination Considerations for People who are Pregnant or Breastfeeding
    American Academy of Family Physicians. COVID-19 VACCINE FAQ

Q妊娠中の女性にmRNAワクチンを接種しても大丈夫でしょうか?

A

妊娠中の女性に対するmRNAワクチンの安全性や有効性はまだ十分に評価されていませんが、米国などでは希望者は接種が可能です1)。米国CDCは「現在の知見から、専門家は緊急下承認されている新型コロナウイルスワクチンは、妊娠中の女性や胎児に危険を及ぼすことはないだろうと考えている」とし、妊婦で感染のリスクが高いグループに所属する方(医療従事者等)に接種の機会が与えられるべきだとしています。WHOも、リスクの高いグループに属する妊婦へのワクチン接種を考慮してよいとしています2)。妊婦は妊娠していない同世代の女性と比較し、新型コロナウイルスに感染した場合に重症化しやすく、また早産等のリスクが上がることが主な理由です。接種を行う場合には、発熱等の副反応が起こり得ることも十分な説明を行うことが大切です。米国ではv-safeという副反応モニタリングシステムに3万人以上の新型コロナウイルスワクチンを接種した妊婦が登録し、妊婦の追跡調査がされていますが、ワクチンを打っていない人と比べ、妊娠の合併症の頻度は変わらず、安全性の懸念はないとしています3)

日本産婦人科感染症学会は「流⾏拡⼤の現状を踏まえて、妊婦をワクチン接種対象から除外することはしない」としています4)日本では、妊婦は努力義務からは除外されましたが、接種対象であれば(2021年3月時点では医療従事者であれば)接種をすることができます。

 

  1. CDC. Interim Clinical Considerations for Use of mRNA COVID-19 Vaccines Currently Authorized in the United States
  2. WHO. The Moderna COVID-19 (mRNA-1273) vaccine: what you need to know
  3. COVID-19 Vaccine Safety Update, Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP) February 28, 2021
  4. 日本産婦人科感染症学会.COVID-19 ワクチン接種を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望する⽅へ

Q授乳中の女性にmRNAワクチンを接種しても大丈夫でしょうか?

A

授乳中の女性に対する十分なデータはまだありませんが、米国CDCは優先接種対象者にあたる授乳中の女性はmRNAワクチンの接種を考慮してよいとしています1)mRNAワクチンの成分は乳腺組織や母乳中に移行する(出てくる)とは考えにくく、もし移行しても乳児に生物学的な影響を与える可能性は低いと考えられています2)

 

  1. CDC. Vaccination Considerations for People who are Pregnant or Breastfeeding
  2. Academy of Breastfeeding Medicine. Considerations for COVID-19 vaccination in lactation. ABM Statement.

Q子供にも接種すべきでしょうか?

A

小児においても、新型コロナウイルスワクチンの安全性と有効性を臨床試験で確認することはとても重要です。ファイザー・ビオンテック社ワクチンは16歳以上、モデルナ社ワクチンは18歳以上に対して臨床試験が行われました1,2)。米国等の国ではそれと同じ年齢で承認がされており3)、日本国内での承認も同様の年齢層が対象になると考えられています。現在ファイザー・ビオンテック社とモデルナ社による12歳以上の小児を対象とした治験が行われています4,5)。6ヶ月から12歳までを対象とした臨床試験も、3月下旬に開始されました

比較的少ないとはいえ、小児でも新型コロナウイルス肺炎や小児多系統炎症性症候群(MIS-C)で重症化する可能性はあり、また小児も感染伝播に重要な役割を果たすので、安全に生活するためにも、集団免疫を獲得するためにも、小児におけるワクチン接種は重要となります。6)

  1. N Engl J Med. 2020;383:2603-15
  2. N Engl J Med. 2021; 384:403-416
  3. CDC. COVID-19 Vaccines for Children, Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP) January 27, 2021
  4. Clinical Trials.gov. A Study to Evaluate the Safety, Reactogenicity, and Effectiveness of mRNA-1273 Vaccine in Adolescents 12 to <18 Years Old to Prevent COVID-19 (TeenCove) 
  5. Clinical Trials.gov. Study to Describe the Safety, Tolerability, Immunogenicity, and Efficacy of RNA Vaccine Candidates Against COVID-19 in Healthy Individuals
  6. N Engl J Med 2021; 384:589-591

実際の接種について

Q新型コロナウイルスに感染した場合(既感染の場合)も接種が必要ですか?

A

症状のない(無症候性の)感染も含め、新型コロナウイルスに罹患された方(既感染者)にもワクチンの接種が推奨されます1)その理由は、再感染の可能性があることと、自然に感染するよりもワクチン接種の方が効果的な免疫が獲得出来ると考えられているからです(自然感染の場合、特に無症状や軽症の場合、重症患者と比べ免疫応答が劣るとの報告があります)2)。既感染者で2回接種が必要かは、現在研究されているところであり、現在のところ、日本では通常通りの2回接種の方針です。

なお、直前に感染した場合には感染から回復し、隔離の必要がなくなってからの接種が勧められています1)新型コロナウイルス回復期血漿療法やモノクローナル抗体治療を受けた方は、罹患後90日経過してからの接種が勧められています。

 

  1. CDC. Interim Clinical Considerations for Use of mRNA COVID-19 Vaccines Currently Authorized in the United States
  2. IDSA. Vaccines FAQ

Q二回接種ではなく、一回接種だけで効果ありますか?

A

ファイザー・ビオンテック社ワクチンの一回目接種後(二回目接種直前)のワクチンの発症予防としての有効性は約50%でした1)。確実に効果のある免疫を作るためには、二回の接種が必要です。

  1. N Engl J Med. 2020;383:2603-2615

Q一回目と二回目で違うmRNAワクチンを接種しても大丈夫ですか?

A

米国のCDCは、臨床試験に準じて同じワクチンを接種することを推奨しています1)

 

  1. CDC. Interim Clinical Considerations for Use of mRNA COVID-19 Vaccines Currently Authorized in the United States

Qワクチン接種後に感染予防策は不要ですか?

A

mRNAワクチンではまだどの程度、無症状者も含めて感染を防ぐか、感染伝播を防ぐかはまだ十分に明らかになっていません。米国CDCはワクチン接種後も公共の場所ではマスク、手洗い、ソーシャルディスタンシング等の基本的な感染予防策を続ける必要があるとしています1)。一方で、ワクチン接種者同士やワクチン接種者と一世帯に所属するワクチン非接種者は、マスクやソーシャルディスタンスなしに会うことが可能と発表しています。このような感染予防策に関する推奨は、国ごとのワクチン接種率や感染流行状況などによって決定されると考えられます。

 

  1. CDC. Frequently Asked Questions about COVID-19 Vaccination

Qインフルエンザワクチンや帯状疱疹ワクチンなど、他の予防接種を新型コロナウイルスのワクチンの前後にうけても大丈夫ですか?

A

現時点では米国疾病対策予防センター(CDC)は、他のワクチンとの同時接種での安全性やワクチンの有効性に関する充分なデータがないので、原則的にはmRNAワクチン接種の前後14日以内はインフルエンザを含めた他のワクチンの接種は控えることを推奨しています1)。しかしもし誤って間隔を空けずに打ってしまっても、接種しなおす必要はないとしています。

 

  1. CDC. Interim Clinical Considerations for Use of mRNA COVID-19 Vaccines Currently Authorized in the United States

Qお金はかかりますか?

A

日本でも無料で接種が受けられます1)

 

  1. 厚生労働省 新型コロナワクチン接種についてのお知らせ

QmRNAワクチンは筋肉注射で接種しますか?

A

筋肉注射です。どの新型コロナウイルスワクチンも、筋肉注射での有効性や安全性が臨床試験で評価されているため、それと同じ方法で投与をする必要があります。また、mRNAワクチンでは皮下注射よりも筋肉注射の方が組織の血流が豊富で、免疫がつきやすいことが分かっています。

 

他の不活化ワクチンに関しても、日本国内では皮下注射することが一般的ですが、他の国々ではインフルエンザワクチンを含めて、多くのワクチンが筋肉注射で接種されています。筋肉注射だから特別痛いということはありません。皮下注射と比べ、筋肉注射では免疫が同等かそれ以上につきやすいことが分かっています。なお、アジュバント(免疫効果を高めるための添加物)を含むワクチン(B型肝炎ワクチン、四種混合ワクチン、13価肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチン等)では、皮下注射で接種すると強い炎症や硬結、炎症や肉芽が起こりやすくなることが分かっています。

 

筋肉注射の実際の接種方法については、日本プライマリ・ケア連合学会の解説動画が大変わかりやすいので一度ご覧いただければと存じます。https://youtu.be/TwoMs0BjIdk

 

  1. N Engl J Med. 2020;383:2603-2615
  2. N Engl J Med. 2021;384:403-416
  3. Curr Top Microbiol Immunol. 2020;10.1007/82_2020_217.
  4. Vaccine Administration General Best Practice Guidelines for Immunization: Best Practices Guidance of the Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP)
  5. CDC Vaccine Safety: Adjuvants and Vaccines

Qファイザー・ビオンテック社のワクチンは、特別なシリンジ・針を使うと5回分ではなく6回分あるのでしょうか?

A

米国で2020年12月1日にファイザー・ビオンテック社のワクチンが緊急使用許可された当初、一つのバイアル(瓶)はワクチン5回分が入っているとされていました。実際の接種が開始されてから、特別な「死腔の少ないシリンジ・針」を使用することで、5回ではなく6回分、分取して接種できることが明らかになりました。ファイザー・ビオンテック社のワクチンは各バイアルに0.45mLが入っており、これを解凍し1.8mLの生理食塩水で希釈した後、接種されることになります。1回の接種が0.3mLであるため、死腔の少ないシリンジ・針を使うことで、計算上は6回、7回分とれる計算になります。これを受けて、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、説明書を1バイアル6回分と修正しました1)しかし、米国のワクチン接種現場でも死腔の少ない特別なシリンジ・針は、もともと供給量が少ないため、必ずしも接種現場で、一つのバイアルから6回接種できているわけではありません。日本の添付文章には「希釈後の液は6回接種分(1回0.3mL)を有する。デッドボリュームの少ない注射針又は注射筒を使用した場合、6回分を採取することができる。標準的な注射針及び注射筒等を使用した場合、6回目の接種分を採取できないことがある。1回0.3mLを採取できない場合、残量は廃棄すること。」と記載されています2)

Dr William Zule – Modeling the effect of high dead‐space syringes on the human immunodeficiency virus (HIV) epidemic among injecting drug usersの図を一部改編

  1. Letter Granting EUA Amendment (01/06/2021)
  2. コミナティ 添付文書

 

Q今回のメッセンジャーRNAワクチンは、特に2回目で、頭痛、関節痛、発熱などが出やすいとききます。こうした副反応を軽減するために、接種前に解熱鎮痛剤などを使用しても良いでしょうか。

A

ワクチンを打つ前に予防的に解熱鎮痛剤を服用するのはお勧めできません。接種前の服用が予防接種の効果に影響を及ぼすことがないか、まだ分かっていないからです。

 

動物実験のレベルですので、実際のワクチンの効果に影響があるかは分かりませんが、事前に7日間NSAIDs(meloxicam)を使用したマウスは、反応でできてくる中和抗体の量が低めだったという結果があります。

 

なお、持病があり、もともと解熱鎮痛剤を常用している方は、もちろん継続して構いません。 

  1. Lancet. 2009 Oct 17;374(9698):1339-50.
  2.  Virol. 2021 Jan 13:JVI.00014-21. 

Q&A作成チーム

Qこびナビ ワクチン説明チーム

A

こびナビ 池田早希

こびナビ 木下喬弘

テキサス州立大学ヒューストン校 感染症科 兒子真之

ベイラー医科大学/Baylor St. Luke‘s Medical Center 感染症科 福田由梨子

米国国立研究機関 峰宗太郎  

ワシントンホスピタルセンター内科 安川康介

Twitter @VaccineWatch

こびナビ 岡田玲緒奈