ファイザー・ビオンテック社のワクチンは、特別なシリンジ・針を使うと5回分ではなく6回分あるのでしょうか?
2021/02/14
米国で2020年12月1日にファイザー・ビオンテック社のワクチンが緊急使用許可された当初、一つのバイアル(瓶)はワクチン5回分が入っているとされていました。実際の接種が開始されてから、特別な「死腔の少ないシリンジ・針」を使用することで、5回ではなく6回分、分取して接種できることが明らかになりました。ファイザー・ビオンテック社のワクチンは各バイアルに0.45mLが入っており、これを解凍し1.8mLの生理食塩水で希釈した後、接種されることになります。1回の接種が0.3mLであるため、死腔の少ないシリンジ・針を使うことで、計算上は6回、7回分とれる計算になります。これを受けて、アメリカ食品医薬品局(FDA)は、説明書を1バイアル6回分と修正しました1)。しかし、米国のワクチン接種現場でも死腔の少ない特別なシリンジ・針は、もともと供給量が少ないため、必ずしも接種現場で、一つのバイアルから6回接種できているわけではありません。日本の添付文章には「希釈後の液は6回接種分(1回0.3mL)を有する。デッドボリュームの少ない注射針又は注射筒を使用した場合、6回分を採取することができる。標準的な注射針及び注射筒等を使用した場合、6回目の接種分を採取できないことがある。1回0.3mLを採取できない場合、残量は廃棄すること。」と記載されています2)。
Dr William Zule – Modeling the effect of high dead‐space syringes on the human immunodeficiency virus (HIV) epidemic among injecting drug usersの図を一部改編