5-6 妊娠中の女性はmRNAワクチンを接種しても大丈夫でしょうか?

2021/02/20

 日本産科婦人科学会も米国CDC も、妊娠中の mRNAワクチンの接種を時期を問わず推奨しています1, 2)。それは妊婦は同世代の妊娠していない女性と比べて、新型コロナウイルスに感染した場合に重症になりやすく、また早産や妊娠合併症、胎児への悪影響のリスクが上がるからです2,3,4,)

 米国では、既に18万人以上の妊婦が新型コロナワクチンを接種しています5)。妊娠中に mRNAワクチン接種をした女性の大規模な追跡研究では、副反応の頻度などは同年代の妊娠していない女性と同程度であることがわかりました。また、その中で妊娠を完了した827人に対する調査の結果、胎児や出産への影響はなかったことが報告されています6)。また、米国の4万人以上の妊娠中にワクチンを受けた人を調べた調査では、早産や赤ちゃんの発育への悪影響(small for gestational age:在胎週数に相当する標準身長・体重に比べて、小さく生まれること)のリスクは上がらないことも報告されています7)

 妊娠中に mRNAワクチンを受けた方の臍帯血(胎児の血液と同じ)や母乳を調べた研究では、臍帯血にも母乳中に新型コロナウイルスに対する抗体があることが確認されています。こうした抗体が、産後の新生児を感染から守る効果があることが期待されています8)

 なお、日本産科婦人科学会は妊婦が感染する場合の約8割は、夫やパートナーからの感染であるため、妊婦の夫またはパートナーにもワクチン接種を推奨しています1)

 

  1. 産科婦人科学会 ―新型コロナウイルス(メッセンジャーRNA)ワクチンについて(第 2 報)― 
  2.  CDC.COVID-19 Vaccines While Pregnant or Breastfeeding. 
  3. CDC. Interim Clinical Considerations for Use of mRNA COVID-19 Vaccines Currently Authorized in the United States
  4. JAMA Pediatr. 2021;175:817-826. 
  5. CDC. V-safe COVID-19 Vaccine Pregnancy Registry.
  6.  N Engl J Med. 2021;384:2273-2282.
  7.  MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2022;71:26–30.
  8.  Am JObstet Gynecol. 2021;225:303.e1-303.e17.
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