5-4 がん患者なのですが、接種しても大丈夫でしょうか?
2021/02/22
がんをもつ患者さんは、新型コロナウイルスに感染した場合、重症化するリスクが高いことが分かっているため、複数のがん関連の学会や団体が接種を推奨しています1-3)。
mRNAワクチンは生ワクチンとは違い、ウイルスに感染することは原理的にありえないため、基本的には不活化ワクチンと同様の扱いでよいと考えられます。効果という面では、抗がん剤の治療により免疫機能が低下している場合、中和抗体が作られにくいという研究報告があります4)。なお、米国では免疫が中等度から重度落ちている方に関しては、免疫がつきにくいことと、重症化するリスクが高いことから、3回目の「追加接種」、さらに5か月後以降のブースター接種をすることを推奨しています5)。また、接種をした後も感染対策を続けることが大切になります。
一般的に、がんの患者さんがワクチンを受けられなかったり、その有効性がはっきりしない場合、周りの家族がワクチンを接種して感染を防ぐことにより、重症化リスクの高いがんの患者さん(のみならず、高齢者や免疫抑制状態の方)を守る効果があるとされています。このような理由から、米国感染症学会(IDSA)は、免疫不全のある方の周囲の方々に対するワクチン接種を強く推奨しています6)。
参考になるサイト
- 日本癌治療学会,日本癌学会,日本臨床腫瘍学会(3学会合同作成)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とがん診療についてQ&A - National Comprehensive Cancer Network(全米総合がん情報ネットワーク)
- 米国がん協会
- American Society of Clinical Oncology(米国臨床腫瘍学会)
- National Cancer Institute
- Society of Breast Imaging
- 日本癌治療学会,日本癌学会,日本臨床腫瘍学会(3学会合同作成) . 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とがん診療についてQ&A
- National Comprehensive Cancer Network. Recommendations of the National Comprehensive Cancer Network® (NCCN®) Advisory Committee on COVID-19 Vaccination and Pre-exposure Prophylaxis*
- American Cancer Society. COVID-19 Vaccines in People with Cancer
- Lancet Oncol. 2021;22:765-78.
- CDC. COVID-19 Vaccines for Moderately to Severely Immunocompromised People
- IDSA. Vaccines FAQ