3-3 ワクチンは無症状の感染を防いでくれますか?ワクチンの接種後に自分が感染してしまっても、他の人にうつしてしまう可能性は低くなりますか?

2022/02/03

 日本で主に使用されているmRNAワクチンは、従来の新型コロナウイルスへの無症状の感染を防ぎ、他の人への感染を減らすことが、複数の研究で報告されています1)。モデルナ社のワクチンの臨床試験では、1回目と2回目の接種前に一部の人にPCR検査を実施していて、2回目の接種の時に、無症状でPCRが陽性だった人がワクチン群の方が少なかった(ワクチン群14人 [0.1%] vs. プラセボ群38人 [0.3%])ことが分かっています2)。ファイザー・ビオンテック社ワクチンに関しては、イスラエルで約60万人のワクチン接種者を解析した研究から、2回目の接種から7日以降では、無症状の感染を90%防ぐ効果が示唆されています3)。さらに、米国CDCの研究から、ファイザー・ビオンテック社およびモデルナ社のmRNAワクチンの接種によって、2回目のワクチン接種から14日以降では、無症状感染を含む90%の感染を防ぐ効果が報告されました4)。 

 ワクチン接種を完了した人が感染してしまった場合でも(「ブレイクスルー感染」と呼ばれています)、その人が他の人にうつす可能性は低くなることも報告されています。デルタ変異ウイルス以前の研究では、ワクチンを受けた方は、新型コロナウイルスに感染しても、検査した時に測定されるウイルスの量が少なく5)、またイギリスの研究では、ワクチンを1回でも接種した人が感染した場合、接種していない人よりも、同居人に感染をうつす可能性が下がることが報告されています6)

 デルタ変異ウイルスに対しても、ワクチンが他の人への感染を予防することが報告されています。イギリスでワクチン接種後に新型コロナウイルスに感染した人の接触者を調べた研究では、ワクチンの接触者への伝播を予防する効果が認められています。ただしその効果は、アルファよりも低く、時間が経過するごとに低くなることが報告されています7)。アメリカの研究では、無症状の感染を含む全ての感染を予防する効果は、デルタが流行する前は91%であったのが、デルタが流行してからは66%に低下したことが報告されています8)

 2022年1月現在、オミクロン変異ウイルスについては、ワクチン2回接種だけだと無症状の感染までを防ぐ効果は低いと考えられています。3回接種によってどの程度無症状の感染を防ぐことができるかについては、現在研究が続けられています。他の人へうつすことを予防する効果に関しても、まだ明らかではありませんが、ワクチンを接種している人が感染した場合の方が、ワクチン未接種者が感染した場合に比べ同居人に感染させるリスクが低いことを示唆する報告があります9)

  1. CDC. Science Brief: Background Rationale and Evidence for Public Health Recommendations for Fully Vaccinated People 
  2. FDA. FDA Briefing Document; Moderna COVID-19 Vaccine Vaccines and Related Biological Products Advisory Committee Meeting Date: December 17, 2020
  3. N Engl J Med. 2021;384:1412-1423.
  4. N Engl J Med. 2021;385:320-329.
  5. Nat Med. 2021;27:790-792.
  6. N Engl J Med. 2021;385:759-760
  7. N Engl J Med. 2022;NEJMoa2116597.
  8. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2021;70:1167-1169.
  9. medRxiv. SARS-CoV-2 Omicron VOC Transmission in Danish Households.

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