7-4 5歳から11歳のファイザー社ワクチンの効果や副反応について教えて下さい。
2022/02/03
こどもの感染では、発熱・咳などの軽い症状や無症状のことが多いものの、まれに重症化したり合併症を起こしたりすることがあります。また、新型コロナウイルスに感染した小児において、多系統炎症性症候群(MIS-C)という全身の臓器(心臓・肝臓・腎臓・脳など)に炎症がおこる合併症も報告されています。こうした合併症を防ぐため、5歳から11歳にもワクチンを接種することには意義があります。
米国やヨーロッパにおいて、5-11歳の小児に対するワクチンの有効性・安全性を調べる大規模な臨床試験が行われました。ファイザー・ビオンテック社製ワクチンについては、5-11歳は大人の3分の1量である10μgの2回接種しても、成人と同等に中和抗体が産生されることが確認されました1)。また、2268名が参加した第2/3相試験では、新型コロナウイルス感染症を発症した子どもは、ワクチン接種群で3例、プラセボ群で16例であり、約90%という高い発症予防効果が認められました1)。
5-11歳に対するファイザー・ビオンテック社製ワクチンの接種は安全性も高いことが分かっており、ワクチン接種後に大人と同じように腕の反応(痛みなど)や全身の反応(熱・だるさ)が起こることがありますが、16歳以上と比較すると頻度は低いことがわかっています。5歳から11歳の発熱の頻度は約7%で、大人の半分以下であることが報告されています1)。また、この臨床試験では心筋炎は一例も報告されませんでした。以上の結果を踏まえ、米国では10月29日に緊急使用許可がおりました2,3)。米国の承認後の追跡調査でも、5〜11歳では腕の痛みや、発熱や倦怠感などの副反応は、12-15歳よりも頻度が低いことが報告されています。具体的には、2回目接種後の局所反応(腕の痛みなど)は57.5%(12-15歳では62.4%)であり、全身性の副反応(発熱や倦怠感など)は40.9%(12-15歳では63.4%)でした。発熱や痛み等の副反応に対しては、年齢に応じて市販の鎮痛解熱剤が使用できます。まれに起こる重い副反応についても12歳以上より頻度が低く、2022年12月末の時点で5〜11歳での心筋炎(心臓の筋肉や周囲の膜に炎症が起こる病気)の頻度は、800万回接種のうち11件と報告されています4)。
日本でも、2022年1月21日に5歳から11歳に対するワクチンの有効性や安全性が確認できたため、特例承認がされました5)。日本小児科学会は、5歳から11歳のコロナワクチン接種について、「基礎疾患のある子どもへのワクチン接種により、COVID-19の重症化を防ぐことが期待されます」「5~11歳の健康な子どもへのワクチン接種は12歳以上の健康な子どもへのワクチン接種と同様に意義があると考えています。健康な子どもへのワクチン接種には、メリット(発症予防等)とデメリット(副反応等)を本人と養育者が十分理解し、接種前・中・後にきめ細やかな対応が必要です。」としています6)。
なお、ファイザー・ビオンテック社製ワクチンの投与スケジュールについては、5歳から11歳も大人と同じ「3週間間隔・2回接種」です。
- N Engl J Med. 2022;386:35-46
- FDA. FDA Authorizes Pfizer-BioNTech COVID-19
Vaccine for Emergency Use in Children 5 through 11 Years of Age
- CDC. Morbidity and Mortality Weekly Report (MMWR)The Advisory Committee on Immunization Practices’ Interim Recommendation for Use of Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine in Children Aged 5–11 Years — United States, November 2021
- MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2021;70:1755-1760.
- 厚生労働省. 新型コロナワクチンの有効性・安全性について
- 日本小児科学会 5~11歳小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方