7-2 小児(12歳以上)と成人では、効果や副反応に違いはありますか。

2022/02/03

 ファイザー・ビオンテック社の mRNAワクチンの臨床試験では、12歳から15歳の被験者において高い発症予防効果が認められました。モデルナ社のmRNAワクチンも、12歳から17歳の被験者においてワクチン効果は93%と成人同様の効果が認められました。こうした結果をふまえて、日本小児科学会は「12歳以上の健康な子どもへのワクチン接種は意義があると考えています」と発信しています1)

 アメリカでの承認後の臨床研究では、ファイザー社のワクチンは12〜17歳の重症化予防に関しても効果があり、入院を予防する効果が94%、集中治療室入室を予防する効果が98%と報告されています2)。また、新型コロナウイルスに感染した小児では、まれにMIS-C(多系統炎症性症候群)と呼ばれる全身の臓器(心臓・肝臓・腎臓・脳など)の炎症が起こることが知られていますが、ワクチン接種は小児MIS-C(多系統炎症性症候群)に対しても91%の予防効果が報告されています3)

 副反応については、ファイザー・ビオンテック社のワクチンは、腕の痛み、疲労感、頭痛、筋肉痛、関節痛、寒気や発熱などが成人よりも少し高い頻度で報告されました4,5)。モデルナ社のワクチンでは、腕の痛み、疲労感、頭痛、筋肉痛、関節痛、寒気や発熱などが成人よりも高い頻度で報告されました6)

 米国CDCによるファイザー社のコロナワクチンを接種した小児における追跡調査も行われており、66,350名の16-17歳の接種者、62,709名の12歳-15歳の接種者において最も多い副反応は接種部位の痛み、疲労感、頭痛、そして筋肉痛でした7)発熱は約30%の接種者に報告されました。殆どの副反応が軽度であり、重い副反応は稀でした。

 成人同様、12歳以上の小児においても接種部位の疼痛・頭痛・発熱が辛い場合は解熱鎮痛剤を使用して構いません(製品毎に対象年齢などが異なりますので、対象をご確認のうえ、ご使用ください)。

 10代から30代において、mRNAワクチンを接種した後に稀に「心筋炎」や「心外膜炎」の副反応が報告されています。1回目よりも2回目の接種後に多く、特に若い男性に多く起こることがわかってきています。ファイザー・ビオンテック社製ワクチンよりもモデルナ社製ワクチンの方が心筋炎が疑われる事例の頻度が高いことが報告されています8-10)イスラエルの大規模な臨床研究では、10万人あたり2.13件で心筋炎が認められ、16〜29歳の男性では10万人あたり10.69件で最も頻度が高かったことが報告されています8)

 厚生労働省によると、日本では12〜14 歳の男性における心筋炎が疑われた報告頻度は、ファイザー・ビオンテック社とモデルナ社ではそれぞれ100万接種当たり26.1件と80件、15-19歳の男性では100万接種当たりそれぞれ25.5件と98.7件です8)ファイザー・ビオンテック社製ワクチンに比べ、モデルナ社製ワクチン接種後の心筋炎・心膜炎が疑われる報告頻度が高いことから、厚生労働省は、10代及び20代の男性については1回目にモデルナ社のワクチンを接種した人も、ファイザー・ビオンテック社製のワクチンも選択できることとする、としています8)コロナワクチン接種後、数日以内に胸の痛み・息苦しさ・動悸などが生じた場合は心筋炎の可能性も考え、すぐに医療機関を受診しましょう。

 

  1. 日本小児科学会 新型コロナワクチン~子どもならびに子どもに接する成人への接種に対する考え方~ 
  2. N Engl J Med. 2022;NEJMoa2117995.
  3. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2022;71:52-58.
  4. N Engl J Med. 2021;385:239-250.
  5. CDC. Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine Reactions & Adverse Events
  6. N Engl J Med. 2021;385:2241-2251
  7. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2021;70:1053-1058. 
  8. 厚生労働省. 新型コロナワクチンQ&A
  9. N Engl J Med. 2021;385:2132-2139
  10. CDC. Myocarditis and Pericarditis After mRNA COVID-19 Vaccination

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